消費者金融の知識
SFCGが私製手形や公正証書を使い、強制執行を行ってまで、債務者が自らの債務に対して抗弁する機会を封じ、過払い金の返還請求を出来ない状況にしてまで不当利得である過払い金の保全を図るという強引な回収手法は、司法の場でも問題視されている。
2004年2月20日、SFCGにとって大きな痛手となる判決が最高裁判所から出された。 貸金業法43条を厳格適用するというもので、SFCGの作成・発行した書類では利息制限法以上の利息を払う必要はないというもので、補足意見では「利息の天引き」や「利息制限法以上の利息を支払わなかった場合の『期限の利益喪失』条項」について、「任意によるみなし金利の支払いとはいえない」という「債務者保護」の考えが明確に述べられるなど、SFCGの体質が厳しく断罪される結果となった。
また、この判決の結果利息制限法以上の金利で融資を行っている金融業者は17条・18条書類の即時発行などに対応しなくてはならなくなるなど、高金利金融業者全体に影響を与えた。 これらの判決に見るように、その他金融業者を含め、SFCGの誇る高金利・高利益体質の維持が難しくなってきている。
なお、このときの補足意見は平成18年1月13日に「利息制限法以上の利息」について争われた裁判で明確な判例となり、「明確な強制がなくても、実質的な強制があった場合任意でみなし金利を支払ったとはいえない。」と言う判決が出された。(消費者金融大手のアイフルの子会社シティズが敗訴。)
この判決の結果SFCGを含めグレーゾーン利息による営業は実質上不可能となったと言える。
東京地裁手形部では、SFCGの私製手形は市場で流通する事を意図したものではなく、円滑な資金の流通を目的とした手形訴訟の目的には合わないという判決が出され、東京地裁がSFCGに手形訴訟を起こさないよう要請するという異例の事態にまで発展した。なお、東京地裁で起こされる手形訴訟の約8割の1500件がSFCGの提訴によるものだという。
また、平成12年には東京高裁でが(商工ファンド(旧社名))の「根保証の法形式の利用は、保証の対象の不明確化を通じて、保証の対象である債権のその後の変化、特に弁済その他による消滅や、利息制限法の適用による債権額の減少を、保証人に隠蔽する道具として、使われているともいえる。・・・(中略)・・・このような手形訴訟や根保証という法形式の利用もいわば、公の秩序である法律の弱点を逆手に取って、自己の不法な利益を図ろうとするものであり、実質上公序良俗に反するものというべきであって、これを許容すべきものではない。」と、「法律を使ったスマートな取立て(社長談)」を断罪される事態もあった。(東京高裁平成12年(ネ)第4474号)
さらに、仙台地裁では、弁護士が受任した場合、債権者は弁護士の受任を原因として強制執行を行ってはならず、司法の場で話し合うようにする注意義務があると、SFCGの強引な債権回収手法も否定された。
なお、2004年2月20日の最高裁の判決の結果、差戻審では、過払い金の返還が認められた。今後は過払い金返還請求が増加するものと思われる。
これらの判決のように近年は、SFCGが被告となる事件でSFCGが敗訴する例が多発しており、司法により債権回収手法や高金利などについてことごとく断罪される事態に陥っている。
また、SFCG子会社のエス・ブイ・アイ(現ティーアンドエー)が偽造委任状を用い、意識不明の人物が所有する路線価22億円の土地を9億円で購入する契約を行ったと見せかけて、土地の移転登記を行ったとして、遺族に、委任状の偽造と本人の意思能力が無いことを理由に契約無効の訴訟を起こされ、東京高裁で敗訴するなどの事件も起こしており、SFCGグループの法律を悪用する体質が社会問題になっている。
平成17年11月25日には、白紙委任状を不適切に取得した上での公正証書作成ならびにその行使が重大な貸金業法違反に当たるとして関東財務局から12月5日から12日間(一部の支店では22日間)の業務停止命令が出され、SFCGは東京地裁に処分停止の仮処分申請を申請したが却下され、それを不服として東京高裁に即時抗告したが認められなかった。
これらの司法当局の決定は、同社の司法テロとも揶揄される手法や「司法を取り立て機関として使っている」と揶揄されるSFCGの司法への対応への、司法当局の強固な意思表示とも取れ、「法律を使ったスマートな取り立て(社長談)」を行うことは非常に難しくなることが予想される。同社はさらに最高裁への特別抗告を検討中としているが、最終的には最高裁への特別抗告は行われなかったようである。